艀(はしけ)ちゃん・3

three-gremlins2005-03-09

退院の日。
部屋の片隅に、炬燵を置いて、カバーをかけて、家に慣れるまでの間の隠れ家を作ってあげました。

家に連れて帰り、餌を与える。食べ終わると艀は一目散に隠れ家に逃げ込みました。。
しばらくの間、艀は食べることしか頭にはなく、食べては隠れ家に逃げ込む生活が続いて・・・

食べている最中に人が来ると、さーっと逃げ込む。
トイレの途中でも、階下で音がすると顔色を変えて逃げ込む。

人間に頼らなければ生きていけないくせに、人間が怖い。
なんとも困った日々・・・。
人間は気を遣い、艀は様子を窺い・・・。

本格的に寒くなって、そろそろ人間も炬燵が恋しくなった頃。
隠れ家の炬燵は取り去られて、人間用として部屋の真ん中に置かれてしまいました。
やむなく艀は家族と同じ炬燵の中に潜り込むことに。
炬燵の中が熱くなると、顔だけ出して眠っている。
ようやく、人間と艀の微妙な緊張感がほぐれてきました。

1週間に1度の通院は続きます。トートバックに入るのを嫌がり始めた頃から体重が増え、毛も生えてきて猫らしくなってきました。
ですが、激しく身体をかきむしり、せっかく生えてきている毛を抜いてしまう。
このかゆみに対しては色々調べても原因がわかりません。

推定年齢2〜3歳にしては赤ちゃんぽい艀。
いずれにしても今日まで計り知れない猫生を、人間によって、あるいは自分から歩んでしまった彼の精神的なコントロールは、掻くことで保たれているのかもしれません。

でもこれからは、少しずつ、少しずつ。
過去は取り返せないけれど、未来を私達と一緒に一歩一歩進んでいければいいと思っています。(完)