太郎、秘密を知る

three-gremlins2005-06-01

(続きです。主な登場人物、その他は前回をご覧ください)

マンションの家と家、ベランダとベランダの敷居。
太郎はそこをくぐった。
狭い穴を通ると、そこは似たような、でも違う家のベランダ。

自分の家とは違う草木。ちょっとシンプルで、『猫の食べる草』なんて到底無く(笑)。
そんな余所のベランダで、太郎が何を思ってお散歩をしていたのかは不明。
これが日当たりの良い昼間だったら、昼寝しているだろうと思うけれど(苦笑)。

お隣のお家には、灯りがついていて、人がいた。
人の動く気配に、太郎は家の中を窓越しに覗き込んだ。

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そのころ小姉ちゃんは、帰宅したテレビの人とご飯を食べて、食後のお茶を飲み、「さーてと、食器を洗おうかなー」、と立ち上がったところだった。
そんなとき、ふと不思議な視線を感じたのだという。
ありえないところからの視線に、恐る恐る小姉ちゃんは顔を動かし・・・

そして、

窓の外に、太郎の姿が!!

太郎:「(小姉ちゃん・・・)。」
小姉ちゃん:「太郎・・・」

太郎&小姉ちゃん:「「なんでそこにいるんだよ〜〜〜っ!!」」

そう! 前回書いた、「太郎は、家族みんなが知っているあることを、この日まで知らなかった。」こととは、「太郎のお隣のお家に、小姉ちゃんが住んでいる」ということだったのです!!

もともとのお隣さんは、別の方だったのですが(我が家は分譲マンションです)、昨年引っ越すこととなり、それにあわせて元々近くに住んでいた妹夫婦は@oku@の隣の部屋に引っ越してきたのでした。
人間たちは、もちろんそのことを知っていたのですが、太郎は当然知らなかった。
(太郎がいるときはベランダに人間がいても会話はしないのと、太郎を隣の家に連れて行ったことはないので)

小姉ちゃんを見ている太郎の目はもうまん丸。
小姉ちゃんもまさか、ここに太郎がいるとは思わずにビックリ!

沈黙して見詰め合う1人と1匹。
先に動いたのは、人間でした。(笑)

ベランダで硬直(!)している太郎に、ゆっくりと近づき、そっと窓を開ける。
小姉ちゃん:「た、たーろー? こっちおいで〜。もうお家に入る時間だよ〜?(汗)」

太郎は必死で考えている様子。
太郎:「(小姉ちゃんとテレビの人がいるしー、ここって僕のお家だったっけかなー?え、でもなんか違う気がするよねー?)」

なんか違う、何かが違う。
焦っている小姉ちゃんの顔(テレビの人は、どーしたものかとやっぱり硬直していたらしい)。似たような家だけど、微妙に物が違う。

「おいでおいで」という小姉ちゃんに対して出た太郎の結論。
太郎:「(なんか・・・ヘン!)」

プイっ、と太郎は横を向き、元来たところへ・・・つまり自分の家へ戻っていく。
小姉ちゃん:「きゃー、大変〜! ちょっと、ベランダに立って、太郎がまたうちに来ないように見張ってて!!」
と、テレビの人をベランダに出して、自分は大慌てで実家のドアを開けて太郎を無事回収!!

ほっとしたのは、当然、小姉ちゃん。太郎といえば、さっき違うところにいたはずの小姉ちゃんが、またお家にいるので「???」だったらしい。
が、とりあえずは一件落着。

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その後。

ベランダにいつものようにお散歩に出ると、太郎は時々不思議そうな顔をします。
太郎:「(なんか、あっちに小姉ちゃんたちがいたような・・・?)」
あれは、なんだったのだろう?
と、ちょっとお隣のお家に行ってみようと歩いていくのです。
でも、そうすると、母や大姉ちゃんたちに、「太郎、そっちにいってはダメだよ」といわれてしまいます。

ある秋の日の不思議な(太郎にとって)出来事。
太郎がそのことを理解する日は来るのでしょうか?(笑)
(written by @oku@)